2013年01月31日
ねぼけ人生
明日は木曜日、さくらやの定休日です。
前日にお花の紹介をしてもな・・・と思ったので、
今日はさくらや図書館のご案内でもしようかと思います。
小学校低学年のころ、テレビでは「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメが人気で、
私は小学館の入門百科シリーズの「妖怪なんでも入門」、
「妖怪クイズ百科じてん」、「妖怪世界へん入門」、「鬼太郎の妖怪旅行」
とかの本や、少年マガジンの鬼太郎のコミックなんかをたくさん買ってもらって、
いっぱしの妖怪博士でした。
水木しげる先生関連では自伝や名言集など、たくさんの本が出ています。
食べるのと眠るのが大好きないっぷう変わった子ども時代や、
激烈な戦争体験、貧乏生活とそのあとの超多忙な執筆生活など、
環境がどんなに変わっても飄々とユーモア満載で生きているセンセイの姿が
うらやましかったり、尊敬したり。
じつは私、6年くらい前に水木センセイのお膝元、
調布の花屋さんでご本人にお会いしたことがあるんですよ!
お店のご主人と話していたら、
体格がよくて片腕のないおじいさんがふらーっと入ってきたのです。
一瞬で「アッ、水木センセイだッ!!」と分かったのですが、
その時センセイが全身から発していたのは『妖怪』の雰囲気そのものでした。
「いつもこんな風にちょっと寄ってくださるんですよ、ね、先生」とか言う
ご主人の声を聞きながら、もう雷で打たれたような衝撃の体験でした。
そのとき、センセイはズボンのチャックが開いていて、
シャツの裾もはみ出し気味、口の中でモゴモゴつぶやいていたので、
「ああ、センセイも恍惚の人に・・・」なんて失礼なこと思ってしまいましたが、
その後、自伝「ねぼけ人生」の中の、
「子どものころよくズボンの裾からふんどしがはみ出ていて怒られた」
というのを読んで、こんなところまで自分のスタイルを貫いているなんて、
なんと素晴らしい!と思いました。
「河童の三平」にとくにみられるユートピアの風景や身近な「死」の匂い、
夢と現を行ったり来たりする感覚や、
子どもも老人も河童もタヌキも小人も誰も主人公になり得る不思議な展開・・・
頭のなかで反芻するだけで、簡単に別の世界に飛んでいけます。
作品の数が半端なく多いので、死ぬまでゆっくり読めるなあと思うと幸せです。
みなさまもまずは水木センセイの独特の言葉にふれて、
マンガ作品を読むきっかけにしてください!
間違いなく『脱力→リセット→出発』の効果が得られます!
来月には16巻が出る「へうげもの」はやっぱりおもしろいです。
何でもすぐに影響を受ける私は、これを読んで陶芸を始めてしまいました。
最近の茶の湯ブーム、利休ブームは結局これにつきますね。
戦国武将、古田織部が数寄で身を立てていく物語ですが、
まあとにかくおもしろいのは出てくる人物が、
作者の超主観で思いっきりデフォルメされていることです。
これを高校生のころに読んでいたら、日本史がもっと頭に入っただろうなあ。
とくに強烈なのがやっぱり千利休と豊臣秀吉の確執を追っていたエピソード
の辺りで、前半のクライマックスでした。
で、千利休自体に興味が湧いて、利休が主人公の小説をしばらく読みました。
作者によって人物像や、
利休切腹に向かういわゆる一連の事件の解釈が違います。
お互いに尊敬と軽蔑が裏腹にあって、刃物の上を渡るような緊張した人間関係
がまさに戦国時代の象徴なのですね。
私はやっぱり野上弥生子さんの男っぽく、まことに読みにくい文章で読んだ
「秀吉と利休」がいちばん好きです。ただただ没頭しました。
ところで、「へうげもの」を実写映画化するならば・・・とよくある妄想をするに、
あまりにマンガが強烈なので、その絵から離れられないのは事実ですが、
私の中では千利休:モーガン・フリーマン、
豊臣秀吉:ジャック・レモン、
古田織部:ジョゼフ・ゴードン・レヴィットというキャストが最有力。
外国人じゃん、とかもう死んでるじゃんというのを置いといて考えています。
へうげものファンの友人からも、利休については異存ないと感想をもらいました。
さて、関が原の戦いも終わり、江戸幕府という大きな舟が出航しました。
古田織部としては、あとはもうただただ死に向かって激走を続けるだけです。
歴史マンガを読むときは結末がわかっているだけに、
その切なさがやっぱりいいですね。
まだまだ追いつけますので、ぜひ「へうげもの」手にとってみてください!
そういえば、DVDも少しだけ置きました。
万が一、自分が俳優だったらぜったい出演したい映画監督ナンバーワン、
ウェス・アンダーソン監督の作品です。
見終わった後の幸福感と満足感を得るために、何度でも繰り返しみたい作品。
まあ、結局私の好みに尽きるのですが、アメリカの映画監督ってどうやって
こういう映画のセンスとか教養を身につけるのでしょうか。
申し訳ないけど、日本人の若い監督からは感じたことがほとんどないです。
人がいて人がやることだけでこの世界はできています。
時にはそんなふうに思い上がってもいいのではないでしょうか?
愛すべき映画たちですので、どうぞご自宅でゆっくりご覧ください。
さくらや図書館では、店内での閲覧はもちろん、貸し出しもしています!
みなさんと本の話をたくさんできたらいいなあと思います。
そしておもしろい本があったらぜひ教えてほしいです!
みなさまのご来店を心よりお待ちしております!
※ 商品や営業についてのお問い合わせは
電話:053-473-5511
E-mail:rosy@mail.wbs.ne.jp
までよろしくお願いいたします。
前日にお花の紹介をしてもな・・・と思ったので、
今日はさくらや図書館のご案内でもしようかと思います。
小学校低学年のころ、テレビでは「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメが人気で、
私は小学館の入門百科シリーズの「妖怪なんでも入門」、
「妖怪クイズ百科じてん」、「妖怪世界へん入門」、「鬼太郎の妖怪旅行」
とかの本や、少年マガジンの鬼太郎のコミックなんかをたくさん買ってもらって、
いっぱしの妖怪博士でした。
水木しげる先生関連では自伝や名言集など、たくさんの本が出ています。
食べるのと眠るのが大好きないっぷう変わった子ども時代や、
激烈な戦争体験、貧乏生活とそのあとの超多忙な執筆生活など、
環境がどんなに変わっても飄々とユーモア満載で生きているセンセイの姿が
うらやましかったり、尊敬したり。
じつは私、6年くらい前に水木センセイのお膝元、
調布の花屋さんでご本人にお会いしたことがあるんですよ!
お店のご主人と話していたら、
体格がよくて片腕のないおじいさんがふらーっと入ってきたのです。
一瞬で「アッ、水木センセイだッ!!」と分かったのですが、
その時センセイが全身から発していたのは『妖怪』の雰囲気そのものでした。
「いつもこんな風にちょっと寄ってくださるんですよ、ね、先生」とか言う
ご主人の声を聞きながら、もう雷で打たれたような衝撃の体験でした。
そのとき、センセイはズボンのチャックが開いていて、
シャツの裾もはみ出し気味、口の中でモゴモゴつぶやいていたので、
「ああ、センセイも恍惚の人に・・・」なんて失礼なこと思ってしまいましたが、
その後、自伝「ねぼけ人生」の中の、
「子どものころよくズボンの裾からふんどしがはみ出ていて怒られた」
というのを読んで、こんなところまで自分のスタイルを貫いているなんて、
なんと素晴らしい!と思いました。
「河童の三平」にとくにみられるユートピアの風景や身近な「死」の匂い、
夢と現を行ったり来たりする感覚や、
子どもも老人も河童もタヌキも小人も誰も主人公になり得る不思議な展開・・・
頭のなかで反芻するだけで、簡単に別の世界に飛んでいけます。
作品の数が半端なく多いので、死ぬまでゆっくり読めるなあと思うと幸せです。
みなさまもまずは水木センセイの独特の言葉にふれて、
マンガ作品を読むきっかけにしてください!
間違いなく『脱力→リセット→出発』の効果が得られます!
来月には16巻が出る「へうげもの」はやっぱりおもしろいです。
何でもすぐに影響を受ける私は、これを読んで陶芸を始めてしまいました。
最近の茶の湯ブーム、利休ブームは結局これにつきますね。
戦国武将、古田織部が数寄で身を立てていく物語ですが、
まあとにかくおもしろいのは出てくる人物が、
作者の超主観で思いっきりデフォルメされていることです。
これを高校生のころに読んでいたら、日本史がもっと頭に入っただろうなあ。
とくに強烈なのがやっぱり千利休と豊臣秀吉の確執を追っていたエピソード
の辺りで、前半のクライマックスでした。
で、千利休自体に興味が湧いて、利休が主人公の小説をしばらく読みました。
作者によって人物像や、
利休切腹に向かういわゆる一連の事件の解釈が違います。
お互いに尊敬と軽蔑が裏腹にあって、刃物の上を渡るような緊張した人間関係
がまさに戦国時代の象徴なのですね。
私はやっぱり野上弥生子さんの男っぽく、まことに読みにくい文章で読んだ
「秀吉と利休」がいちばん好きです。ただただ没頭しました。
ところで、「へうげもの」を実写映画化するならば・・・とよくある妄想をするに、
あまりにマンガが強烈なので、その絵から離れられないのは事実ですが、
私の中では千利休:モーガン・フリーマン、
豊臣秀吉:ジャック・レモン、
古田織部:ジョゼフ・ゴードン・レヴィットというキャストが最有力。
外国人じゃん、とかもう死んでるじゃんというのを置いといて考えています。
へうげものファンの友人からも、利休については異存ないと感想をもらいました。
さて、関が原の戦いも終わり、江戸幕府という大きな舟が出航しました。
古田織部としては、あとはもうただただ死に向かって激走を続けるだけです。
歴史マンガを読むときは結末がわかっているだけに、
その切なさがやっぱりいいですね。
まだまだ追いつけますので、ぜひ「へうげもの」手にとってみてください!
そういえば、DVDも少しだけ置きました。
万が一、自分が俳優だったらぜったい出演したい映画監督ナンバーワン、
ウェス・アンダーソン監督の作品です。
見終わった後の幸福感と満足感を得るために、何度でも繰り返しみたい作品。
まあ、結局私の好みに尽きるのですが、アメリカの映画監督ってどうやって
こういう映画のセンスとか教養を身につけるのでしょうか。
申し訳ないけど、日本人の若い監督からは感じたことがほとんどないです。
人がいて人がやることだけでこの世界はできています。
時にはそんなふうに思い上がってもいいのではないでしょうか?
愛すべき映画たちですので、どうぞご自宅でゆっくりご覧ください。
さくらや図書館では、店内での閲覧はもちろん、貸し出しもしています!
みなさんと本の話をたくさんできたらいいなあと思います。
そしておもしろい本があったらぜひ教えてほしいです!
みなさまのご来店を心よりお待ちしております!
※ 商品や営業についてのお問い合わせは
電話:053-473-5511
E-mail:rosy@mail.wbs.ne.jp
までよろしくお願いいたします。
Posted by さくらや at 01:36│Comments(2)
│さくらや図書館
この記事へのコメント
すごーーい!!DVDの貸し出しもあるんですね!立派な図書館だわぁ~(驚)
私も行くたびにお借りして読みたいくらいなのに、最近読書の時間がとれてないです(泣)
テレビドラマも録るばっかりで全然見れなくてハードディスクが満タン気味・・トホホ~。
私も行くたびにお借りして読みたいくらいなのに、最近読書の時間がとれてないです(泣)
テレビドラマも録るばっかりで全然見れなくてハードディスクが満タン気味・・トホホ~。
Posted by akicom at 2013年02月01日 13:37
akicomさん
先ほどはご来店ありがとうございました!
ユキヤナギ、きっとお部屋に表情をつけてくれると思います!
読書はけっきょく少しゆとりがあるときにしないと、十分には楽しめませんね。
いつでも開店していますので、また準備万端のときに借りていってくださいね!
「どぶどろ」を楽しく読んでもらったみたいで、今私が読んでる同じ半村良の「暗殺春秋」というのも無茶苦茶におもしろいので、読み終わったら図書館に入れますね!
また、akicomさんおすすめの本も教えてください!!
先ほどはご来店ありがとうございました!
ユキヤナギ、きっとお部屋に表情をつけてくれると思います!
読書はけっきょく少しゆとりがあるときにしないと、十分には楽しめませんね。
いつでも開店していますので、また準備万端のときに借りていってくださいね!
「どぶどろ」を楽しく読んでもらったみたいで、今私が読んでる同じ半村良の「暗殺春秋」というのも無茶苦茶におもしろいので、読み終わったら図書館に入れますね!
また、akicomさんおすすめの本も教えてください!!
Posted by さくらや at 2013年02月01日 19:37